
膝の痛みでお悩みの方で多い症状の一つとして、膝に水が溜まってしまって歩けなかったり、曲げ伸ばしができなくてお困りの方も多いです。
そして病院で膝に溜まった水を抜いてもらうような処置を受けられているかと思います。
しかし膝の水は何度も抜いてもらうのは良くない、膝の水を抜いてもらうとクセになると聞いたことがあるかもしれません。
結論から言うとパンパンに腫れて動けなくなってしまったときは水を抜いてもらうのはひとつの手段でしょう。
ただ何度も行うことで膝の変形を助長してしまう恐れがあるので、違った対処法や、そもそも膝に水が溜まってしまう原因を取り除いていったほうが賢明だと言えます。
ここではそもそもなぜ膝に水が溜まってしまうのかの原因や、水が溜まってしまった時の自宅でできる安全で簡単な対処法をお伝えしていきます。
膝に水が溜まるって何?
膝はももの大腿骨と、スネの脛骨で構成され、周りを関節包という袋で取り囲んでいます。
そして骨同士が摩擦して擦れないように関節の中には潤滑剤としての役目の関節液という水分で満たされています。
この関節液は本来適量分あることで膝の潤滑を保ったり、クションのような役目をしたり、関節の中の軟骨に栄養を与えています。
しかし何らかの原因で膝に炎症が起きてしまうことでこの関節液が過剰に溜まってしまい、このことを膝に水が溜まると言われています。
膝に水が溜まる疾患は?
1、変形性膝関節症による炎症
膝が変形してしまうことにより関節の中で摩擦が強くなり、軟骨などに過度な負担が生じ、炎症が起きて水が溜まってしまいます。
2、外傷による関節の炎症
外傷によって関節の中にある軟骨や靭帯などが損傷することで炎症が起こり、水が溜まってしまいます。
中の水を抜いてみると、損傷によって関節液の他に血液が混じった液が抽出されます。
3、感染による炎症
膝に最近が感染することによって炎症を起こし、水が溜まってしまいます。
4、リウマチによる炎症
リウマチによって関節内が炎症を起こすことによって水が溜まってしまいます。
5、その他
他に痛風や偽痛風なども関節内で炎症を起こし、水が溜まってしまいます。
なぜそもそも水が溜まるのか?
では、なぜそもそも炎症して関節液が過剰に溜まって、水が溜まってしまうのか?
それにはまず二つのことを知っておかないといけません。
1、体はタンパク質できている
人間の体は主にタンパク質で作られています。
筋肉や神経、血管、内蔵、骨もタンパク質で作られています。
骨はコラーゲンにカルシウムが沈着して作られることによって、適度なしなりや弾力性が生まれます。
カルシウムだけだとチョークのように簡単に折れてしまいます。
2、炎症によって起こる五大兆候
炎症が起こることによって起こる兆候には5つあると言われています。
1、熱感(熱を持つ)
2、発赤(熱によって赤みを持つ)
3、腫脹(腫れる)
4、疼痛(痛みがある)
5、機能障害(機能が損なわれる)
炎症が起こることによって熱を持ち、赤く腫れあがり、痛みが出て動けなくなるということです。
3、水が溜まる原因は?
膝に水が溜まる原因はそこに炎症が起きているからです。
炎症が起きていることで局所は過剰に熱を持ってしまいます。
そもそも膝を構成している骨や靭帯、軟骨などはタンパク質でできています。
このタンパク質は過剰な熱に弱いのです。
骨を鍋で煮込むと溶けていくように、人間の骨や筋肉のタンパク質も熱によって相当なダメージを負ってしまいます。
水が溜まるということは、そうした炎症による熱のダメージを消火活動するように体中の水を膝に集めて、熱を冷まして骨や軟骨などを守ろうとする体の正常な防御反応です。
膝の水はあまり何度も抜くのは良くない?
膝に水が溜まるのは炎症による熱を冷まして、タンパク質を守る防御反応だと説明しました。
たしかにパンパンに膝が腫れあがり、歩くのも困難な時などは水を抜いて、中の内圧を下げてあげることで動けるようになるので、良いことだと思います。
ただ何度も膝に水が溜まってしまうということは、中で炎症がまだあり、熱が取り除かれていないということです。
この熱を取り除かない限りは炎症は治まりません。
さらに熱の問題を除去しないで何度も水を抜いていると、熱の貯留で徐々に骨を溶かして変形を助長していったり、靭帯や周囲の組織も脆くなっていく恐れがあります。
あくまで膝の水を抜くのは対症療法だということは認識しておくのが良いでしょう。
膝に水が溜まった時の安全で有効な対処法は?
膝に水が溜まったときは炎症を抑えていくことが大切です。
炎症を抑えるには熱を奪ってあげることがとても有効な手立てになります。
そのためには氷を使ってアイシングをするのが安全で有効な対処法となります。
方法は
1、氷を水にさらし、霜を取る。
2、袋や氷のうに氷を入れる。
3、患部に当てて、20分以上冷やす。
注意点
1、必ず氷を使用してください。アイスノンや保冷剤は凍傷の恐れがあります。
2、寒くならないようにあったかい格好をして、患部だけ熱を取り除く。
3、直接患部に当てるのが良いですが、慣れない場合はまずは手ぬぐいなどで覆って患部に当ててみると良いです。
4、初めは冷たくて痛みを感じるかもしれませんが、それだけ炎症が強いので、徐々にでいいので行ってください。
5、腫れが引くまで1日に何度も根気よく行ってください。
アイシングをすることで徐々に炎症が治まり、膝の水も段々と溜まらなくなってきます。
ぜひ、膝に水が溜まる意味をもう一度しっかりと理解し、安全な対処で対応していってくだい。
またもし膝の症状でお困りなら当院がお力になりますので、ご相談ください。